妙法蓮華経 授記品第六

 この品には、《信解品第四》の体験発表によって、摩訶迦葉・摩訶目連(まかもっけんれん)・須菩提・摩訶迦旃延がほんとうに仏法を信解したことをお認めになったお釈迦さまが、この四人に授記されたことがのべられています。授記というのは、《方便品第二》のところでのべたように、「そなたはかならず仏の悟りを得、仏の境地にたっするであろう」という保証をあたえられることをいいます。

授記には条件がつく
 しかし、この保証にはいつも条件がついています。それは「これこれの修行をしたのちに……」ということです。いわば、仏の悟りを得る大学への入学許可書のようなものであって、けっして卒業証書ではありません。これからさきの勉強がぜったい必要なのです。《譬諭品》のところで暗示された〈他力〉と〈自力〉ということが、ここで、またちがった形で示されていることに注目すべきです。